香港の核心は私たちこそ知るべきである。

 忘れないように書いておこう。ここは情報保管庫でもある。未来への提言となりえるかもしれないし、あるいは未来への予測が当たっているのかも検証できる。前々回述べたウイグル問題に続いて香港デモで死者が出たことについて書いておく。その前に日本の学者で令和について元号法は政教分離に反するので西暦に統一しないと憲法違反である、とTVで発言していたのだが西暦はキリスト教に準じるのでまさしく宗教的である。こんな稚拙な言論が許されるほどこの国は言論の自由があるとともに学者のレベルが低くとも許されているのはまさしく人権が保障されている平和主義であるといえる。多くの大学教授の程度がいかに低俗であるのはそれはそれで情けないのだが。

 中国の精華大学は世界の大学ランキング22位でアジアトップの最高学府である。許章潤。法学院教授でありその精華大学の法治と人権研究センター主任でもあり中国全国十大傑出青年法学家として表彰も受けた彼は政府により停職処分となる。ネットで発表した「我らの目下の恐懼と期待」が原因とされている。その内容を列挙してみよう。

◇4つの超えてはいけない一線

1 基本的治安の維持 2 私有財産の尊重 3 市民生活の尊重 4 政治の任期制度

◇8つの不安

1 私有財産権は守られるのか 2 政治優先で経済は放棄するのか 3 階級闘争が始まるのか 4 米国などと揉めて鎖国時代に突入するのか 5 対外援助のやりすぎで国民を苦しめるのか 6 思想改革を始めるのか 7 軍拡をすすめ戦争を行うのか 8 改革開放を終わらせるのか

◇8つの期待と提言

1 ばらまき外交の停止 2 主要外交の派手な浪費の停止 3 長老の利権特権の廃止 4 公務員に対する特別供給制度の廃止 5 公務員の資産公開制度の実施 6 個人崇拝キャンペーンにブレーキを 7 国家出席任期の回復 8 天安門事件の再評価

「近未来、各所で起きている各種の「神格化運動」「領袖崇拝」は反現代的で潮流に逆らい常軌を逸しており、恥知らずで、見るに堪えない。やりすぎで、あまりにひどく、過ぎたるは及ばざるがごとしで、ただ我々をびくびくと死を恐れる苛烈な社会に引き戻すだけだろう」と激しい口調で糾弾し締めくくっている。当然、習近平についてだ。

 その後も政策批判、習近平批判をして停職、解職になった者は後を絶たない。このようなアカデミズムへの糾弾は何を意味しているのかというと共産党権力を維持するための若者への洗脳教育が基本にある。これら教授の解雇や停職は教えている学生の密告によるのが多く、文革も天安門も知らない学生は簡単に洗脳され、もはや中国のアカデミズムは地に落ちているといえる。重慶師範大学副教授、唐雲は魯迅研究の授業で「国家の名誉を傷つける発言をした」と教え子に密告され処分された。中国社会の病理の一つとして中国人の愚かさを風刺するのが魯迅の作風なのだから文学的解釈として中国政府に対しネガティブな発言になるのは当たり前なのだが、洗脳された学生にはそんなことも解らないほどもはや何が悪いのか正しいのかも判断がつかないのである。あくまで一例ではある。だがアカデミズムは浸食されているのは紛れない事実ではある。

 一方では台湾に留学した李家宝は「習近平が憲法改正し皇帝を名乗るようになってから辛亥革命以前より暗黒になった」とツイッターに投稿。英BBCの取材に対し「共産党はずっと台湾を矮小化し民主主義や自由を恐ろしいものと宣伝しているが、台湾に来てから彼らの言っていることが全部嘘だとわかった」と語った。本国の大学で愛国洗脳教育をうけた学生も一歩外に出て、学問や言論の自由な空気に触れれば中国のおかしさに気づく場合もある。その後李家宝は取り調べを受け、家族との連絡が取れなくなる。ちなみに家族を人質にとるのは共産主義の常套手段であり驚くべきことではない。その人質の殺害まであるのが共産主義だ。これも驚くべきことでは全くなく前例はいくらでもある。なぜそんな非道なことが平気で出来るのか。民衆は共産党のピラミッドの上層部が裕福に暮らせる為だけの道具に過ぎないからであり、人権という意味すら与えられていないからである。これがスターリンから変わらぬ不変の事実であると共に日本共産党にも同じことが実は言えるのである。まあ、こちらの方は共産主義ごっこではある、と離党した筆坂秀世氏が同様の発言をしていたように記憶する。

 このようなことは人道的に社会的に断じて許されないことだと声を上げているのが香港の若者たちである。2047年の完全返還には生きていないかもしれないからなのか高齢者の関心は薄いようだ。だから若者なのである。

 これを若者の政治や社会に対するガス抜きも必要なんじゃないかといったとぼけ切った発言をするテレ朝の玉川徹氏は常軌を逸したとんでもないアホだし、それで番組構成を成り立たせている「羽鳥慎一モーニングショー」の質の悪さとテレ朝のスキルの低さには閉口である。こんな深刻で世界の趨勢も見ずに恥知らずの番組が情報弱者を食い物にしているのは何度も言っているが許されない行為であると同時にやはり真実を視る眼力は必要だという事。それがないと簡単に騙されるからだ。ここだけ切り取れば問題発言になるだろうが誤解恐れず言うと真実はこうだ。頭の悪い人は頭の良い人に利用されるという現状は少なからずに存在する。メディアは経営上の自己防衛の為にそこに加担するな。詐欺師の片棒をかつぐな。そこに正義はないのか。こう言うべきなのだ。

 今こそ世界は香港を支援すべきである!傍観するなと。

 とはいえ、中国とあれだけの貿易戦争と言われるだけの対立を仕掛けた米国が、なぜ圧勝できる人権について中国との対立構造を打ち立てないのか。ここをやると本当の共産党の追い込みになり戦争に踏み込まざるを得ないというリスクがほぼ決定的というのが理由だろう。そうなれば米中貿易戦争と言われる裏の真の戦争、技術窃盗とサイバーアタックによる戦争では米国の敗戦が確定的だからだと考えるのが筋だ。米政府はすでに当てに出来ないとなるとどうすればいいのだろうかという事を民衆は知るべきである。解決策は政府以外が世界を動かす事にしか解は無いように私は思う。まずは世界中の人たちがこのことを知るべきだが、世界では今日一日を生きるのも精一杯という人たちの方が圧倒的多数で知る由もない。これは人間がどこへ向かおうとしているのかという生物学的瞬間と人道的正義の判断基準の定義確定に直面しているのである。この世界の窮地と言える瞬間を桜を見る会等のどうでもいい件で国会の時間を費やすのはまさしく国会開催1日当たり3億円と言われる税金の無駄遣いであり、世界における平和主義と立憲主義の責任の欠片もなく、愚か者で恥知らず極まりない事として猛省すべき行為である。とはいえ代議制を取っている我が国はそもそもこんな馬鹿者どもを当選させている我々にこそ責任があることを知っておきたい。つまり、そして、またしてもここでも諸悪の根源は教育制度というふうに繋がるのである。

 いつか陳浩天(アンディ・チャン)についても詳しく触れてみたい。

 

 

おしまい。