GOGO!どんとマンボ!おいなり少年!吉田省念!?

 高島屋から四条河原町を西に向かって歩き2つ目の信号、ドトールコーヒーの角を左折、要するに南下して2つ目の交差点。見た目行き止まりに見えるちょっと十字のずれた交差点をもう50メートル南に下れば右手にライブハウス磔磔がある。古きにいえば富小路仏光寺下る。ともかく最初に勇気を振り絞ってここに行ったのが高校3年の1987年の3月だったと思われる。今では設備会社の専務になっているN君を無理やり連れて行った(ような気がする)。当時の僕は何もかもが輝いて見えていた。僕が若かっただけではなくてアートや音楽はこのころ得体のしれない力を持っていた。アンダーグラウンドなサブカルやジャズで京都が日本で一番面白かった街、そう言われていた時代はさらに20年前だったらしいけど高校生の僕には十分に刺激的だった。今の京都は外国人が姿を消し男も女もみんながカワイくキレイになった。お洒落だけどなんだか頼りないというか個性のない適当な優等生というか。コンチネンタルキッズのラン子さん注1とか今はいないからな!!やっぱりデフレがクソなのか先進国がハングリーさを薄めるのか。僕は元々エネルギッシュではないから他人のこと言えないんだけどね。

 磔磔。ローザ・ルクセンブルグのライブを初めて観たのが1987年3月17日だった。覚えてたり日記をつけている訳はなく去年手に入れたDVD「ローザ・ルクセンブルグお蔵出しVOL.3」に記録されていた。磔磔は白壁の土蔵を改造したライブハウスである。満員で200人くらいだが後方の一段上がったところには畳の間があり当時は靴を脱いで居間のように座っていた。ライブハウスなのにちゃぶ台(!)があり食事もできた。20人くらいが座れたと記憶している。楽屋はその右隣の階段を上がって2階にあってアーティストは観客の間をぬってステージに上がっていた。そこでもみくちゃに触れた。ローザの客層は平均年齢20歳くらいで男女比率は8:2で女8割。女子高生は最前列、OLの綺麗なお姉さま方は畳の間に幼い僕らに威圧感を放ち陣取っていたように思う。大人の女性の匂いがした。ステージから3mくらいのど真ん中には太い柱があり後ろからすると邪魔である。僕は入る順番からだいたい柱の斜め後ろくらいが多い気がする。33年前もそうだったようだ。DVDにも映っているかもしれないが暗くて確認は無理である。

 ローザはその後すぐ解散しBOGUNBOSとなる。その中心人物がVOのどんと(久富隆司)。どんとは異才奇才ぶりをいかんなく発揮し2000年1月のハワイで天に召す。プロにファンが多く毎年の追悼ライブのメンバーも今は亡き清志郎を含め厄介な人達ばかりである(笑)。そんな天才の原石だった頃の京都のローザ時代にそれを追っかけていた僕は誇らしい。なぜなら本物を見抜く眼力を当時から備えていたといえるからである(笑)。

 その、没後20周年ライブが磔磔にて先日5日におこなわれた(8月5日はどんとの誕生日)注2。このご時世にだ。京都市新型コロナあんしん追跡サービスに登録し、検温に消毒にアンケート記入。中に入れば1mおきに椅子が並んでいてマスク着用のスタンディング禁止。つまりずっと座ってなくちゃいけない。でも思うんだよね。野球やサッカーの結果がニュースで流れなかった6月まで。なんか生活に彩色がないというかつまらんのよ。別にどこが勝った負けたに一喜一憂するわけでなくそもそも好きなチームもないんだが、スポーツがあるかないか、音楽があるかないか、それらが無い生活というのは死なないんだが、しょーもないのである。感性がどんどん駄目になっていく。それらを解っている人たちがこいつはもう限界と運営しそれらを必要な人たちが集まった。お客は50人くらいでさすがに少なかったがおばあちゃんが小学生の孫連れて来たりしてほのぼのしてた。当時の女子高生やお姉さまらしき人も集結。30年どうやって生きて来たかが服装と顔に表れている。腰までスリッド入ったサマードレスかワンピか知らんけどそんなもん着て太腿見せびらかしてる人は普段の僕の周りにはいないのよ。また麦わら帽子が似合うノースリワンピで読書が好きそうで物静かなメガネ女子も隣に座っている(あくまで個人の感想による)。40歳くらいだろうがキレイだ。一瞬、松たか子かと思ったがそんな訳はない。外でタバコを吸っているとおそらく60歳を超えている近所のおっさんが自転車でやってきた。何しに来たんだと思ったらお客だった。そしてまたしてもど真ん中の柱の左後ろ。マイポジションなのか。まあそんなこんなでこのコロナ禍でも楽しかった。新型コロナ自粛だ自粛だと言ってるばかりじゃなくて、思考停止にならずみんなが前向きで運営し、責任もって参加してた、いいライブだった。有料配信、投げ銭制度など音楽業界は思考停止してないぞバカヤロー!!ちなみに吉田省念は天才ヨシダミノルの息子である。久しぶりに聴いた吉田によるおいなり少年コン。フォークの神様。当時小学生だった吉田省念が時代をつないでゆくとは、歴史とは流れていくねぇ。どこへ行くやら。

おまけ。Soul of どんと2006の「どんとマンボ」。清志郎もYUKIも竹中直人もいる。これがフジテレビで放送されてたから偉大である。

おしまい。

注1 ・・・ ボンデージで胸出してベース弾いてた人。見せるけどやらせないが信条だった、らしい。

注2 ・・・ 元BOGUNBOS(Dr.KyOn、永井利光、岡地曙裕)、下地光史(踊ってばかりの国)、ラキタ、久富ナラ、小嶋さちほ、吉田省念、どんと20周年祭2020魂の誕生日。下っちゃ~ん、Tシャツ買ったぞ~。

さらにおまけ。松たか子が当日隣にいてても全く不思議ではない貴重映像!?どんとがいかにグレイトかがこれで解るだろう。