保管庫 「ごあいさつ」

先日、当社のホームページをみていて「これはないわ」と思った箇所が2か所ある。制作会社には即時変更するよう指摘した。その1つが「代表からのごあいさつ」である。理由は「誰がこんな長文を読むんや!」というもので学生にアピールするならこんな文章では無理だ、時代と社会性を考えシンプルにしなければならないと思うが、世界観のギャップがあり過ぎてわしにはもうよう解らん、文章のコンセプトを再構築し俺に提案してくれ、書くのは自分で書くから、と。しかし個人的には削除するに惜しい文章なので最期にここに記録として掲載する。ご丁寧にも2部構成になっているが渾身の作なので仕方がない(笑)。

 

 

当然すぎるが歴史とは次代を担うものを残していくことこそである。

ある友人のご子息が中学生の時「フェルマーの最終定理」(サイモン・シン著)を読むといいと勧めた事がある。ちょうど夏休みで読書感想文の題材にしたい思惑もあり、彼は数学好きでもあったのでなお抵抗が無かったようである。勉強になった、なにより面白かったという。それ以来僕は数学好きの友人の子供たちにはこの本を勧めている。もう何冊配ったであろうか。そこでは学校では教わらない数学の歴史と苦闘が書かれている。

そのお子さんたちももう高校生。その高校生にぜひ読んで欲しい本が「サピエンス全史 上下」(ユヴァル・ノア・ハラリ著)である。これは高校生くらいまでで読んでおいて欲しい本である。中身は学校ではおおよそ教わらないことばかり書いてあって、かつ社会に出れば知っておいた方が良い見識や情報が書いてある。しかし前出の子供たちには勧めていない。読まないと解っているからだ。塾に通いだしたらもうそのような時間も余裕もない。受験勉強は大変なのである。

そんな彼らも今年か来年には選挙権を持つという。有権者なら世界の近代史は大雑把でも押さえておいて欲しい。マクロ経済学も知っておいた方が心強い。欲を言えばバランスシート(貸借対照表)と英語が出来ればもう完璧だろう。それらの知識があると様々な判断に役立ち、情報を流す側(新聞・TV・政府・各省庁・さまざまな既得権益側の団体など)にコントロールされるという理不尽さから逃れることも出来る。それ以上に大人になって、例えば家庭を持つ際、車や家を購入したりする際、また生活費や学費を検討したり、様々なイベントにベストな判断が出来るだろう。今は役に立たないと思っても大人になってから必ず役に立つ。それらが詰まっているのが前述の本なのでぜひ読んで欲しい。ちなみに大人になってからの方が読書の機会が減る傾向にあるからこそ18歳までが望ましい。

学校で教わる数学が将来的に何も役に立たないということはない。だが個人的な経験だと少ないかも知れない。ただし受験勉強がすべて無駄かというとそうでなく、苦しんで目標を目指すという意味においてとても貴重な時間だ。一生懸命に取り組むという姿勢こそ大切だと思う。だが偏差値によって高校、大学を振り分けられ、それに比例して就職も決まってゆくというのは正しい事なのだろうか。事実、学業が苦手だった人も仕事は抜群に出来る人がたくさんいる。社会人になって学生時代の偏差値なんて一部を除いて役に立たないのだ。そんなものより大事なものはある。では大事なものとは何か。

実は世の中は理不尽な事の方が多いのだ。不毛と思いたくなる人間関係に疲れ、やりがいを見出せなくて仕事に全力で向き合えない、常にストレスと対峙し日々過ごすのはとても残念な毎日だ。夢や希望を全てかなえられればいいのだがそう上手くはいかないのが普通なのだ。私は現実主義なので上辺だけのきれい事は言いたくない。言っても何の解決にもならない事を知っている。よって自己啓発本は嫌いである。世の中はままならないのだ。これは2500年前から既に釈迦が説いている諸行無常の無常であり直近の時代に限ったことでは無く、歴史的現実であり、科学的正解である。それを自覚しないと思わぬ不幸を招く確率が上がるのだ。そうならない為の知恵や工夫を身に付けられるのが職場であり、仕事とはそれを身に付ける為のテキストでもある。それでいて自然と全く知らない人や地域社会の役にも立てている。これが解って初めてようやく人生は面白くなる。だからこそお客様を大切にし、初めて心からお客様の安全と幸福を願えるのだと思う。

学生のみなさん一緒に働いてみませんか。確実な成長を約束する実に楽しい職場です。

 

お客様へのご挨拶が無いではないかと思いつつも最後まで読んで頂いた律義で真摯な皆様へ。
その内容は以下につづきます。

お客様満足度第一位をずっと維持していく為に

高知県に日本経営品質賞を受賞したネッツトヨタ南国(株)というトヨタディーラーがあります。この業界ではとても有名な会社です。社長とは何度かお話をさせて頂いたことがあるのですが、ある時地元の新聞のインタビューで「ほんとはお客さんの事なんかどうでもよくて社員の事しか考えてないんだよね~」的な事を言ったら翌日記事になっちゃって冷や汗をかいた事があると苦笑されていました。苦情が一件も来なかったのでホッとしたとも仰っていて、僕はこの話に凄く納得しています。お客様満足度(CS)がずば抜けてずっと高いこの会社、比例して従業員満足度(ES)もとても高いのです。企業は人こそが全てという事をまさに体現なされているというのが授賞理由だと僕は理解しています。しかし真似て出来るくらいなら全国中の会社全てが素晴らしい会社になっていることでしょう。上手くいかない会社にはどこかに必ず出来ない理由が在る筈です。

当社はおかげさまで県内ではずっとこのジャンルにおいてトップランナーを走らせて頂いています。社長の品質を考慮すれば実に不思議な事態ですが、これからも滋賀県のホンダディーラー全体で切磋琢磨し一生懸命取り組んでいきたいと考えております。ですが、この仕事に限らずサービス業において全てのお客様に喜んでいただくというのは理想ですが、現実的には不可能と言わざるをえません。しかし喜んでいただきたいという意思を全員が持つことは可能かと思います。とはいえ現実的には全社員すべてがそう信じて働いている組織はめったにありません。大企業にお勤めの方なら尚更ご理解いただけると思いますが大きくなればなるほど難易度は上がります。私たちはその上で一人一人が自立し、考えを共にし、お客様と向き合って行きたいと考えています。

また私の経験上、失敗とお客様からのお叱りが成長の糧であり財産です。そこでお願いなのですが当社の社員を出来るだけ叱ってやって下さい。もちろん失敗したときだけで結構です。間違いを正し今以上にお客様に尽くすことを学ぶ事をお約束させて頂きます。同時に温かい眼でも観ていただければ幸いです。もちろん従業員教育は企業の努めという事は自覚した上で私どもも全力で育てていくとお約束させて頂きます。どうぞ、社員ともどもホンダカーズ甲賀西を宜しくお願いします。

 

 

以上である。そしてこの文章がいかに駄目かを検証するために私の周りの有識者に読ん貰って意見を頂いた。これもメモとして残しておく。

・数学の歴史と苦闘な。例えばガロアなんか数学と関わったおかげで死んでるし、谷山・志村予想の谷山さんも命を落としている。数学問題を解き過ぎて廃人になった人も数えきれん。フェルマーを読めば理解できるがそうでなければさっぱり歴史の真の意味が解らんやろな。サピエンス全史は数学以外のあらゆる人間の苦闘の歴史が書かれているがこれも本を読まなければピンとこない。つまり本を読んでない人からすると全くピンとこない文章って事よ。文章を書きたいだけではあるまい。伝えたいのだろうが。

わたし → だから読め言うてんねん。大人は手遅れだから子供のうちにって。

・サピエンス全史は闘いの歴史ともいえる。相手は自然環境、災害、人間の限界点などと様々あるが実際に戦争が昔から絶えないのも事実だ。誰もそんなこと望んでないのにさ。一部の狂人がやってしまうんだな。それも人間だからこそなんだが。人間の生き方を問う、これはとても哲学的であり科学的でもあり、その答えを人生かけて探すっていうのは年寄りには解らんことないけど学生には絶対に無理だろう。さらに職場で探すって公私を分けてる人、仕事は仕事って割り切ってる人には全くの意味不明だろう。

わたし → そう、特に仕事に対して生活する手段としか思ってない人とは人生観や世界観の相違で同じ日本語で会話してても話が通じない。

・叱られ慣れてないのが問題であるが、叱られないように踏み込んで仕事をしない人ばかりの気がしてて。なのでそんな風土から凄い技術やコンテンツが生まれるはずもないから日本の将来はもう駄目なんだろうなと。つまり、わざと一生懸命に仕事しないのが基本となりつつあるのだ。

わたし → そういう奴は要らん。しかし採用できなくても会社は終わる。ハードル下げるって話か?それ以前に俺の思い込み過多か?

・死生観やな。この文章の最も取っつきにくいところは。

わたし → その通り。哲学は既に死んだが私はそれに憑りつかれているのだ。

 

 

以上、保管庫として記録。しかし記録したことにより私はより進化するだろう。

 

 

おしまい