硫黄島からの手紙だけではない

作家、門田隆将氏の宣伝でまんまと買わされてしまった「大統領に告ぐ 硫黄島からルーズベルトに与ふる書(産経新聞出版)」を読んだ。内容はともかく80年経った今も世界のやっている事は何も変わらないじゃないかという絶望に似た感想である。当時のワシントンにここまでかと浸食していたソ連のスパイ組織、蒋介石の思惑、それに扇動され提案された「ハルノート」からの一連の流れ。情報戦はより強かに過去の経緯を学習し実践されているという真実。「ヴェノナ文書」が示しているように当時も今も明確に解ってはいるのだ。これほどの無力感があるだろうか。

ロシアがウクライナに侵攻したのが2022年。ロシア関連でいえば先日バルト三国付近でさらなる危機が実はあった。世界各国は即座に把握していたが日本にこの情報が入ってきたのはかなり遅れての事である。スパイ防止法もない国に情報が即座に伝わらないのは当然というべきだろうが、この危機感は共有できていない、また戦略的かつ意図的に他国に封鎖されている。このことから伺えるのは平和な日本では想像もつかないだろうが2030年までの数年間、更なる悲劇を生む確率は極めて高いと言える。この約10年間の世界。その後の50年後、より明らかな検証が入ることだろう。

10/26には「沈黙の艦隊 北極海大開戦」が公開される。晩年の大沢たかおが何を語るのか待つことにしよう。

 

おしまい