老害というべき映画批評。LED ZEPPELIN「BECOMING」!!

友人のY君は今でもたまにギターを弾いている。近所の名前も知らない女の子にギター上手いんですねと声をかけられた僕の同級生でもあるY君はローリング・ストーンズが大好きだ。今でも「LOVE YOU LIVE」はよく聴いてるぞという話をしたら「俺はストーンズのライブは大嫌いだ」という。オリジナルが好きなんだと。ミックはライブでのアレンジが酷すぎると言っていた。僕はそこもいいもんだと思うのだが彼にしたら許せないらしい。恐らく純粋すぎるのだろう。そのY君に映画館についたら「BECOMING」今から観るぞとポスターでも写メ送ろうかなと思ってたほど僕は入れ込んでいた。競馬でいえば興奮してレース前から完全に体力消耗している馬状態である。

LED ZEPPELINの「BECOMING」をIMAXで観るため東宝シネマズ二条に向かう。時間は21時半スタート0時前まで。OASISの来日には行けなくても京都なら近いし、そもそも最近はOASISは聴くことがなく車の中でも聴いているのはもっぱら60Sのものばかりだった。中でももし僕がプロボクサーであったなら入場曲はZEPPELINのAchilles Last Standに決まってるというもので胸の高鳴りを抑えきれず向かったのだ。

ここでIMAXってなんだということに触れておかなければならない。皆さんは当然ご存じだと思うのだが僕は知らなかったというほぼ終わってる状況。でも映画館は親切でIMAXはこういうシステムなんだと上映時間前に来月公開されるトロンアレスを題材に解説が入る。なるほど最新の音響システムなのね。価格はレイトショーなのに2900円だった。期待は高まるばかりである。

観客は当たり前のようにまばらで短期間で上映終了も仕方がないだろうという有様。同い年くらいの昔も今もヘヴィメタやってんだろうなというおっさん。同じく同世代であろう金髪ショートのおばさん。その容姿から明らかに平凡とは無縁の人生を歩んできたんであろうなと感じる人達。まとうオーラは異様そのもの。

ちなみに「BECOMING」の公式サイトではあらゆるミュージシャン、音楽評論家、芸能人の圧倒的な賞賛の嵐。やはりこの時点で疑わなければいけなかったと今にして思う。ふと我に返って過去、このような巨大アーティストの回顧録のような映画を何本も観てきたがだ、良かったと思ったことがない現実を思い出したのである。そういえばローリング・ストーンズの「シャイン・ア・ライト」もここ二条まで観に来てたよな。良い悪いは個人の主観に過ぎないのでそれはいい。だがやっぱり現在のペイジ、プラントの姿を見てしまうとどうもやりきれないものがある。ZEPPELINは「永遠の詩」でいいのだ。なので帰路の深夜の車の中では「永遠の詩」を爆音でかけて帰ることとなったのだがこっちの方がIMAXより良かったというのはいかがなものかなのである。

という話を今もバンド活動をしている友人のW君に話していたら「ボヘミアン・ラプソディ」観ましたかと言われ、観てない、クイーンは観る気がしないと言っても貸してくれることになった(笑)。代わりに僕が貸すのはコッポラの「THE DOORS」である。二人とも最期まで観切ることが出来るのか疑問ではある。

あ、IMAXの宣伝の時に「劇場版OFFICIAL HIGE DANDISM LIVE at STADIUM 2025」の予告編があった。なるほどIMAXに適していてうまく出来ている。それにしても最近の日本のボーカルは凄いなと。特にテクニックというか声帯を科学的に理解しているというか数年前に比べて段違いに上手い。ロバート・プラントやロニー・ジェイムス・ディオを人の域を超えていると見ていた以上の衝撃である。でもギターやベースやドラムスは普通以下だなと思ったのが僕の感想。これを前出のW君にも言ったら「その通りです」と言っていた。俺もある程度の知識はあって言ってるのである。技術の有無は関係ない。超絶才能持ったフロントマンが仲のいい友達で仲良くバンドを作るといった感じだろうなと思った。これが今どきの時代である。そういえば世良公則も似たようなこと言ってたな。老害の仲間意識であろう。

しかし敢えて特にドラマーにはもの言いたい。ジョン・ボーナムを科学せよ、奴は深堀する必要のある怪物である。

 

 

 

おしまい