半導体不足で様々な商品の納期が大変な事になって久しいです。しかもグローバルの合言葉がまるで正解のように日本に限らず、米国および各国の精密機械や部品をですね、低賃金で製造させるアジア圏、主に中国にシフトさせていったわけですよ。輸送代差し引いてもそちらの方が低コスト、つまり儲かったからです。しかし、コロナによるロックダウンによって半導体以外の部品も工場が閉鎖され、例えば車なんかですと配線などが手に入らずに完成車が作れない状況も多々ありました。だったら国内で作れよとはいえ、事はそう単純でもありません。今まで200万円で販売していた車が300万円になっても、それはそれで大変ですと。その意味では今年の冬も更なる納期遅れが発生するのも時間の問題であると僕は覚悟してます。
さて、半導体に話を戻します。半導体といってもいくつもの種類があり、大雑把に区分けするとゲーム機、スマホに搭載されている半導体は次世代半導体といいます。これは4Gのスマホだと3個入っています。5Gだと8個入っているそうです。ゲーム機もそんな感じで複数個入っているのでしょう。知らんけど。そして高額です。
車の半導体は汎用半導体といって1台あたりに何十個も使われています。まあ言うても20~30年前の設計で古くて簡素。さらに安い。
みなさん、聞いたことありませんか?コロナによって巣ごもり需要が増えゲーム機が飛ぶように売れたおかげで半導体不足に陥っている、などと。ほとんど、不正解です。アホなニュース記事読んでるとそんなのが多かったのですが、とんでもない。半導体の会社はより利益を生んでくれる次世代半導体ばかりを製造したからです。なぜならその方が儲かるから。これは世界の半導体製造会社の構造的問題なんですね。僕は今までコストを叩きに叩いてきた自動車産業への恨みだと解釈していますが(笑)、あながち間違ってはいないと思います。アメリカのフォード・モーターのCEOジム・ファーリーなんかはインタビューで「もはや自分たちで半導体を造らないと、近い将来、社員全員を解雇しなければならなくなる」とも発言しています。ウォール・ストリート・ジャーナルには去年の秋にとっくに掲載されていました。さらに詳しく近年の半導体メーカー別の次世代、汎用に対しての投資割合なども掲載されていましたが有料記事なのでモラル上ここでは控えます。まあちょっと言うと9対1ですね(笑)。
あとですね、私の個人的人脈(笑)を使って調査したところ例の熊本における台湾セミコンダクター・マニファクチャリング、通称TSM、そのTSMとソニー(あとデンソーなど)と手を組んだ補助金4760億円のいわば国家プロジェクトがありますが、おそらく現状が20%くらい改善するのが妥当かなというレベルだろうなと現時点では言えそうです。数年先はもう少し効果的に稼働するとは思いますがね。これについて根拠もあるんですが、これ以上は有料コンテンツです(笑)。ただし熊本県の景気は間違いなく熱くなるでしょう。話を元に戻しますと、国の主要産業である自動車産業を守るために経産省の役人がまとめたファインプレーだと思います。
ですがや、もともと半導体は日本のお家芸だったわけですよ。ここらへんでも身近な話として石山のNECなんかはそれで潤ってました。それがルネサスになり衰退したのは記憶に新しいと思います(古いがな)。その原因は実はアメリカの圧力もあったりしたんですが、最大の理由は円高だったからです。円高は輸出が苦しくなる、円安は輸出が潤う、前にも書きましたね。アメリカの圧力とは高い半導体で日本だけが得しやがって!こうなったら中国で作ったるから覚えとけよ!というものです。ざっくり言えば(笑)。それに円高が重なって余計に儲からなくなり日本企業も中国にシフトしたというシャレにならない事態が起きました。
ところが現在は円安局面です。日本で作ってアメリカに買って貰おうというのも戦略としては間違っていません。とすればですよ、アメリカと経産省が裏で絵を描いているかは解りませんがこの円安ってそういう事情で意図された円安じゃないのかなという思慮も頭の片隅に入れておいてもいいんじゃないかなとも思います。
もちろん、国内に生産拠点を移すんであれば長期的な視点で事業計画を練らなくてはなりません。つまりですね、何千億円も投資をして生産ラインを作らねばならない為に20年後も円安局面が続いていないといけないのが条件ですから簡単ではありません。これには実はもうひとつ強力な条件が付きます。アレです。
もう一つ重要な事を書いておきますが、円安というのは経済的には近隣窮乏化といって一国だけ通貨の価値が下がるとそこは輸出で潤うもんなんです。だから他国に嫌われるのが今までの歴史でした。日本もアメリカが怒ってくるから気を使ってわざと円高にしていたと思います(これはさすがに根拠はありません笑)。これと高度経済成長の終わりと、成長を止めた30年の歴史は為替レートと見事にリンクします。つまり高度成長期は日本の労働者が勤勉で寝る間を惜しんで働いたからだという通説ではなく、1ドル=360円という超円安だったからだけでしょという意味です。だから変動相場制をアメリカに迫られプラザ合意により、そこからどんどん円高になって成長しなくなったというのもグラフで示すと明確にリンクしています。実はバブルもあんまり関係なかったんですよ。という話は議論は勿論あっていいんですが、為替レートを用いると簡単に解説できます。日本の経済学者は絶対に否定しますがね(笑)。だったら逆に別の理屈で解り易く納得できるように説明して頂きたいもんですがね~。
どうですか?これを読んでいる中高生の諸君。現代の社会問題から、グローバル社会、経済界の歴史、為替の役割、プラザ合意まで、今日は濃い内容だったでしょう。これに貿易と集団的自衛権の関係も完全にリンクしてきますから国際関係論は奥が深いんです。知っておくと何年か後に必ず役に立つので、マクロ経済学と国際関係論は勉強していた方が良いですよ~。就職もこれ考えてした方がええで。
おまけ。文中のアレとは何でしょうか?これが解ればまずは合格です(笑)。ヒントはバイデン大統領が円安を歓迎しているコメントを残したことです。ボケてんのか事態を解って言ってんのか良く解りませんが。
おしまい