1 例えば元FRB議長であるベン・バーナンキ、ノーベル経済学賞学者であるポール・クルーグマン、スティグリッツ、直近ではローレンス・サマーズ等の大学者が、また海外のメディアではウォールストリートジャーナルやフィナンシャルタイムズ等も日本の消費増税は世界経済の危機の一つであると数年前から言及している注1。これに反論する日本の経済学者の言い分はでっち上げのデータに基づいての妄想に過ぎないレベルと言っていいもの。
2 一方で日本のメディアでは財政危機だから将来的な財政健全化の為には消費増税が絶対に必要であると連日報じられた。政府も増税後に景気は緩やかに回復していると発表している。信じがたいが経団連は増税を歓迎しているとても異常な団体である。裏取引でもあるのだろうか注2。
3 しかし内閣府から2月10日に発表されたGDPの伸び率は10~12月期で1.6%のマイナスで年率換算すると実質6.3%の衝撃的なマイナス成長が明らかになった。ここでは過去の消費増税より深刻な数字とだけ言及しておこう。あまたの経済学者の増税後に過去の増税後においても経済は急激に回復しているから大丈夫だという記事や言及が多いが嘘である。なぜ嘘をつくのかその理由にこそ問題があることを言及しておく。しかも程度の低い嘘なだけによほど他人をバカにしているかが伺えるというもの。ちなみに1~3月はこれにコロナショックが加わるのでリーマンショック級を超える可能性大だ。
4 またこのタイミングで国際通貨基金(IMF)が日本は2030年を目途に消費税は15%を達成すべきだと発表した注3。またそれを日本の左翼系メディアは嬉々として報道した。どうしようもないレベルと言っていい。
5 リーマンショック級のことがあれば増税しないと言っていた安倍政権だが、どちらかというまでもなくアベノミクス肯定派だった産経新聞ですら批判している消費増税とアベノミクスの完全崩壊。先ほど述べたコロナショックを合わせた不況とオリンピック後に開催後各国に必ず訪れているオリンピック不況を合わせると凄まじい不況になると予想される。普通なら経済対策を行うべきだが果たしてどうか注4。
さて問題です。
増税後の景気衰退、経済成長の鈍化は過去が100%証明しています。その為に就職氷河期が訪れその時期に直面した学生は今もなお苦しみ、企業はリストラが進み、給料が上がらず、正規雇用が減り、失業者が増え、自殺者も増えています。確実に国民の生活は疲弊し苦しむことになります。しかしこれらは細部まである程度正確に計算で予測出来ます。つまり結果が解っているに関わらず増税しているのです。ここでも散々書いているので省略しますが老後不安のための社会保障というのは論理的ではありません。社会保障と説明するのであれば保険料で徴収するのが世界の常識だからです。なぜなら使い道に融通が利くので様々な問題が起こり得ます。ではそれでもなお、なぜ政府は増税したがるのでしょうか?池上彰さんなんかからは絶対に出て来ない答ですからネットで検索しても出て来ないと思います。逆に膨大なプロパガンダに触れることになります。みなさん一度考えてみて下さい。あ、日本を破壊するためという答以外でお願いします。
おしまい
注1 ・・・ バーナンキは日銀に対してとても呆れた批判を行っている。これは僕なりの翻訳だが「彼らは手に負えない愚か者の集団、クレージーなバカの集まりである」という具合だ。円の信認、日銀券ルールに対しても瞬殺論破している。つまり諸外国のまともな思考の知識者、まともで正義感のあるメディアは、日本の日銀、財務省、内閣府は限りなく経済音痴だとみているのだ。ちなみに日経新聞がフィナンシャルタイムズを買収したのは記事の内容が良化する可能性を期待していたのだが無駄であったようだ。おそらく記事を理解できる記者がいないからだと思われる。日本の大学制度の最悪な状況はこういう所にも影響を与えている。経済学部を出た学生で経済について詳しい社会人は割合的に1%もいないと思われる。学費の無駄と考える親がいても良いと思うのだが、そんなことを考えている親は事実上いない。だが私は考えている。その為学費は全額自己負担(奨学金)、進学は自己責任と完全に突っぱねた私は莫大な借金を背負った子供と絶縁状態にあると報告しておく。私の死後理解してくれたら幸いと祈ってはいる。
補足 ・・・ ノーベル経済学賞を受賞するような論文は何年もいろんな角度から世界で著名な学者たちによって精査され審査を経たのち決定されるので間違った論文は皆無である。アメリカ経済はそのような受賞者、それと同等な経済学者の人材が豊富なうえで景気の陰りが出てきたらその人たちの政策をかなり受け入れる寛容さがある。これがアメリカ経済がなかなか停滞しない理由であるのではと考える。日本はそのような学者の数は片手で数えるくらいだし、意見を受け入れる寛容さがないのでここ30年不景気といえる。財務省が経済に素人過ぎるのに力を持ちすぎているのが原因。その根本は大学教育が悪いと言わざるを得ない。個人的にだから口酸っぱく中学の時から簿記と国際関係論とマクロ経済学と英語を教えなきゃいけないと言っています。
注2 ・・・ 社会保障は保険料で徴収するのが鉄則なのは世界の常識。だがこれをすると日本では企業と従業員との折半で企業は大出費となり営業効率が悪化します。だから消費増税すれば売り上げが下がるのを分かったうえで賛成にまわり、その見返りとして法人税が大幅に下げられているのではないかと考えるのが通説となっている。今年の経団連の新年の集いかなんかでも某企業トップは今年は景気見通しが暗いという予想の理由に日米貿易摩擦、アメリカ経済の見通しを上げているが、「消費増税の悪影響」という言葉と「中国経済の弱体化」というWORDすら出て来ていない。こういうのを忖度という。つまり財務省や中国との関係が何よりも大事な組織と言わざるを得ない。消費増税なら数年苦しめばしのげるが保険料折半は永久の支出になるので困るという訳である。国と企業の寿命は比べてみるまでもなく企業の方が短いのにかかわらずにである。ただしフェアに言うと中小企業への減税措置の方が割合的に高いとも私は思う。つまり大企業だけが儲けやがってと叩くのは無茶苦茶な論理である。中小企業の経営努力が足りないひがみというレベル。
注3 ・・・ IMFに出向している財務官僚のレポート。ただのレポートではなく消費増税をしなければ日本は滅ぶというプロパガンダ(誘導)を流布させる目的で書かれている。信じる方も信じる方だが見事に国民は信じている。ちなみに国連にしてもWHOにしても同じような構造の上に成り立っている。スポンサーには逆らえないのが民主主義のなれの果てであるというよりも、最初から分かっている真理だ。見落としてはいけない現代社会の基礎である。
注4 ・・・ 普通ならただちに補正予算を組むべきだ。最低で20兆円。全品目の軽減税率5%のバラマキなら法改正しなくても可能。私の予想は後手に回った5兆円規模。つまり敗北を意味するという事である。この敗北の意味とはまたの機会に。